東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
キャップ付の象牙印材(長さ36ミリ)
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
先日、印鑑リフォームのお客様が見えて鞘付(さやつき・キャップ付きのこと)で長さ36ミリの象牙をお持ちになりました。20代に見える男性の方で「曾曾(ひいひい)おばあさんの持っていた象牙印鑑です。」とおっしゃいました。おばあさんでも2世代上ですから「曾曾」となると、4世代も上の方です。
40年程はんこ屋の仕事をしていて、珍しい印材を拝見しました。36ミリの長さは昭和の時代には、よく見かけて彫っていましたが、象牙で鞘付は記憶にありませんでした。鞘の長さが印材の長さに比例して短いものだと、改めて感じました。令和の時代、印鑑の長さはほとんど60ミリ(二寸)が主流になりました。このお客様の曾曾おばあ様の時代だと、明治の頃の印材かと思います。
一度彫ってある象牙印材をリフォームするので、彫刻面を平面に削りましたが、長さは1ミリは短くならず35.25ミリくらいになりました。鞘を付けて印鑑ケースに収めても、ほとんど違和感がありませんでした。
20代の若い方が、曾曾おばあ様の印鑑をリフォームして再利用なさる、とてもよいことだと思いました。起業をなさるのに使う実印とおっしゃていました。事業の成功を曾曾おばあ様もお祈りのことと思います。