東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ

朝ドラ「ばけばけ」ではんこを捺す場面

2025年12月13日

印鑑 八王子 楽善堂

──── 八王子で印鑑を作り続けて124年 ────

 こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

 今週、12月9日(火)のNHK朝ドラ「ばけばけ」の中で、はんこを捺す場面が出てきました。仕事柄、すぐにスマホでテレビ画面を撮らせてもらいました。ストーリーの流れでは、ヘブン先生がご自分の名前入りのはんこが欲しくなり、県知事の娘さん、りよさんに連れられて地元、松江市のはんこ屋に行き、待ち彫り(店頭でお客様が待っている間に、はんこを彫り上げること)をして作ってもらいました。二人がそれぞれ、自分のはんこを捺す場面が放映されました。

 興味が持てたのは、「へぶん」さんの文字の並べ方です。縦書きではあるものの、文字の形を考えてうまく右左に動かして配字されています。通常のはんこは縦書きだとまっすぐに1列に入れます。特にひらがな、カタカナの場合、縦長のスペースに入れた方が格好がよい字、横長のスペースの入れた方がよい字があります。下記の印影だと、「へ」は横長のスペース、りよさんの「り」は縦長です。「ぶ」は横に広くて大きく入り「ん」の一画目は「ぶ」が右に動いてくれたので長く入りました。

 はんこは、狭い面積の場所にそれぞれの特徴をもつ文字を配置していくので、縦書き、横書きも含めて、いかに楽に見せるか? いかに文字の特質を生かせるか?がはんこ職人、はんこデザイナーの腕の見せどころです。この作品はNHKの小道具さんが、どこかのはんこ屋さんに依頼したものと思いますが、よくできている文字配りと思います。テレビ画面で一瞬に視聴者に見せるので、文字が大きく見えて判読しやすい、も狙ったと思われます。時代考証的には、この明治の時代、外国人のお名前だからカタカナ表記で注文しなかったのかな? は視聴者の立場としては感じたことでした。

▲右の印影「りよ」さんの「り」も「よ」が少し右にあるので、2画目の縦画が伸び伸びと入りました。

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