東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ

横目象牙印鑑の彫刻

2022年08月24日

印鑑 八王子 楽善堂

──── 八王子で印鑑を作り続けて124年 ────

 こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

 先日、九州の長崎県のお客様からご注文があり、横目象牙印材への彫刻の仕事でした。未彫刻の新品の印材が送られて来ました。2本あり、2本ともが横目芯持(よこめしんもち)と言って、象牙の中心部分を印材の中心部分になるように採取されたものです。側面の上側、下側に綺麗な大小の同心円の模様がありました。

 数軒で「できない」と断られたと電話でお客様がおっしゃっていました。私にとっては、特段難しい仕事ではありません。縦目象牙(一般的な象牙印材)に比べて、彫ってみての手の感覚がやや違います。1本は実印でフルネームの彫刻、もう1本は銀行印で姓のみを彫りました。お客様からのご指示で、字頭(じがしら、文字の上の位置)は、芯が出ている箇所を時計の12時、字頭に決めました。こうすることで、紙に押捺する時に、上の位置が分かります。さらに印鑑ケースに入れた時、字頭を上にするので、開けた時に一番綺麗な模様を見ることができます。

 最高級の象牙印材を彫らせていただいた、という思いです。これもまた職人冥利と言えるものです。

当店にある象牙印鑑の説明板の一部分です。今回彫らせていただいたのは、横目芯持の印材でした。左端の「芯持印鑑」は、彫刻面と印材の頭部に象牙の芯が来ます。
当店に在庫の横目象牙印鑑です。芯持ではありませんが、円弧の模様が出ています。
上にあるのは通常の象牙印鑑です。縦目に採取するので横目とは90度位置が
違うことになります。

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