東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
青田石(せいでんせき)の円筒形印材
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
先日、お客様から円筒形の青田石(せいでんせき)が送られて来ました。青田石は中国の浙江省青田県から産出します。主に篆刻で使うので正方形が多いのですが、彫刻依頼の青田石は円筒形でした。よく見る木製や黒水牛製の印材(印鑑の材料)と同じ形です。
一口に石印材(せきいんざい)と言っても、大きく分けて2種類あり、篆刻(てんこく)用の鉄筆で彫れる石印材と彫れない石印材があります。鉄筆で彫れる石印材は青田石の他、 寿山石・巴林石(ぱりんせき) ・遼凍石などです。鉄筆では彫れない石印材の方は、水晶、瑪瑙(めのう)、虎目石のような貴石とも言われる石です。これらはサンドブラストによる彫刻法で、印面に砂を吹き付けて文字以外の部分を除去して彫ります。
今回の仕事は、彫る前にいつものように印稿(仕上がりのラフデザイン)をお客様にメールで送り、線の様子を確認いただきました。鉄筆で彫ると篆刻作品のように、文字の欠け、勢いのある線質が出ますが、印稿の線質と雰囲気が変わってしまいます。文字までは私が書いて、彫刻は水晶や瑪瑙を専門に彫る職人さんにお任せしました。都区内の職人さんで、ほとんど印稿通りに彫ってくれるので安心して任せています。
印鑑の彫り直しを主にお受けしていますが、新規の材料で未彫刻のものも対応しております。今回の仕事はこのパターンでした。青田石にして円筒形が珍しいご注文でした。