東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
ご夫婦の実印、違いを出して彫る
先週、実印のご注文を2本いただきました。ご夫婦の実印でした。下のお名前はもちろん違いますが、ご苗字は同じです。書体に関しては、2本とも同く“吉相体”のご希望でした。
このようなご注文は時折あります。今回の場合は、4文字の中で2文字の姓が同じですが、男性の兄弟に多く見られる例は、4文字の内、3文字までが同じ文字、という場合です。最後に来る漢字が、例えば「〇司」「〇男」「〇郎」というような場合があります。
書体も同じでのご注文の場合は、文字の線質を買えたり、文字そのものの画数を少し変えたりして、違いを出すようにしています。というのは、印鑑を使う方は、それぞれの方で違うからです。学校氏名印のゴム印ならば活字なので、文字が同じならば、仕上がりのゴム印の文字も全く同じになります。印鑑の場合は変えます。今回はご夫婦なので、
ご主人様の実印⇒直径は15ミリ、男性的な線質で直線、直角の作風
奥様の実印⇒直径は13.5ミリ、女性的な線質で曲線の多い、流れる線質の作風
にして作らせていただきました。下記にこの2つの作風の違い用サンプルを作り添付します(このブログ用に作りました)。この文字に違いを出す“気配り・気遣い”は職人としてお客様から言われなくても大切なものと考えております。このお客様からは下記のメールをお受け取り後にいただきました。
楽善堂さま
先日、実印2本を受け取りました。
私共にはもったいないような、立派で素敵な印鑑を受け取り、大変嬉しく思いました。